【第1回東方最萌決勝・定時SS集】
(初出:東方シリーズ板「東方最萌トーナメント 九本目」 535・802)

 決勝の開始から、12時間。
会場のボルテージは、一向に下がる気配を見せない。

「……そろそろ、疲れてきたんじゃないの?」
「……残念だったわね、まだまだ大丈夫みたいよ。
 調子も良いから、とっておき、行かせてもらうわ」
パチュリーが呪文を詠唱する。
と、その周囲に青緑色の光弾が所狭しと浮かび上がった。
「月符『サイレントセレナ』……貴方に避けられるかしら?」

「そう、そう来るのね……では、こちらも」
幽々子が手に持った扇をかざす。次の瞬間、色とりどりの蝶が辺りに所狭しと現れる。
「幽曲『リポジトリ・オブ・ヒロカワ -神霊-』……さっさと落ちちゃいなさい」
「なるほど、やるじゃない……いくわよ!」

 青い光と、蝶が、激しくぶつかり合う。
勝負は、後半戦へと突入する……。


――――― 東方最萌トーナメント 決勝戦、残り11時間!










 決勝も、ついに22時間を経過した。
来たるべきラストへ向け、場内は更に熱気を増す。

「……いい加減、ヤバイんじゃなくて?」
「……何の、まだまだいけるわ……う、けほっ、こほっ!」
激しく咳き込むパチュリー。長時間スペルを唱え続けて、さすがに堪えている。
「あらあら……勝負ありかしら?」
「……ふふ、そう言ってる貴方も、だいぶいっぱいいっぱいみたいだけど?」
「あら、ばれてた?」
「体の色が薄くなってきてるからね……分かるわよ」
パチュリーの言う通り、幽々子の体は、段々と透き通り始めていた。

「この分じゃどうやら、お互い次が最後になりそうね」
「……そうみたいね……」
「……それじゃ、」

「「これで、決めるわ!」」

 幽々子の体の色が更に薄さを増していき、その背後から巨大な桜の木が姿を現わす。
同時に、パチュリーの周囲にいくつもの魔方陣が展開されていく。

「食らいなさい、『反魂蝶 〜 八分咲』!!」
「耐えてみせるわ! 火水木金土符『賢者の石』!!」

 いっそう激しくぶつかり合う弾と弾。場内がひときわ強く沸き返る。
勝利へ向けて、最後の1時間が、始まった。


――――― 東方最萌トーナメント 決勝戦、残り1時間!
            両陣営、ラストスパート!