決勝の開始から、12時間。 会場のボルテージは、一向に下がる気配を見せない。 「……そろそろ、疲れてきたんじゃないの?」 「……残念だったわね、まだまだ大丈夫みたいよ。 調子も良いから、とっておき、行かせてもらうわ」 パチュリーが呪文を詠唱する。 と、その周囲に青緑色の光弾が所狭しと浮かび上がった。 「月符『サイレントセレナ』……貴方に避けられるかしら?」 「そう、そう来るのね……では、こちらも」 幽々子が手に持った扇をかざす。次の瞬間、色とりどりの蝶が辺りに所狭しと現れる。 「幽曲『リポジトリ・オブ・ヒロカワ -神霊-』……さっさと落ちちゃいなさい」 「なるほど、やるじゃない……いくわよ!」 青い光と、蝶が、激しくぶつかり合う。 勝負は、後半戦へと突入する……。 ――――― 東方最萌トーナメント 決勝戦、残り11時間! 決勝も、ついに22時間を経過した。 来たるべきラストへ向け、場内は更に熱気を増す。 「……いい加減、ヤバイんじゃなくて?」 「……何の、まだまだいけるわ……う、けほっ、こほっ!」 激しく咳き込むパチュリー。長時間スペルを唱え続けて、さすがに堪えている。 「あらあら……勝負ありかしら?」 「……ふふ、そう言ってる貴方も、だいぶいっぱいいっぱいみたいだけど?」 「あら、ばれてた?」 「体の色が薄くなってきてるからね……分かるわよ」 パチュリーの言う通り、幽々子の体は、段々と透き通り始めていた。 「この分じゃどうやら、お互い次が最後になりそうね」 「……そうみたいね……」 「……それじゃ、」 「「これで、決めるわ!」」 幽々子の体の色が更に薄さを増していき、その背後から巨大な桜の木が姿を現わす。 同時に、パチュリーの周囲にいくつもの魔方陣が展開されていく。 「食らいなさい、『反魂蝶 〜 八分咲』!!」 「耐えてみせるわ! 火水木金土符『賢者の石』!!」 いっそう激しくぶつかり合う弾と弾。場内がひときわ強く沸き返る。 勝利へ向けて、最後の1時間が、始まった。 ――――― 東方最萌トーナメント 決勝戦、残り1時間! 両陣営、ラストスパート! |