【第2回東方最萌 1回戦 チルノ vs レミリア・スカーレット】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 八本目」391)

 熱戦続く最萌トーナメント、その1回戦第4試合。
ステージ上、試合を前に対峙するは2人の少女。
かたや、燃えるような紅い瞳を持つ吸血鬼。
かたや、凍るような蒼い瞳を持つ氷精。
背の丈だけ見れば両者の間に殆ど差は見られない。
だが、両者の醸し出す雰囲気は……明らかに異なっている。

「全く、敵ながら同情するわ」
「な、なにがよ」
「強者だらけのこのブロックに放り込まれた挙句、初戦の相手がこの私。
 これで絶望するな、って方が無茶だと思うけどねぇ」
「ば、馬鹿にするなッ!
 み、見てなさい、私にかかればあんたなんて、ひとひねりなんだからッ!」
「……足を震わせながら言ったって説得力ないわよ」
「……ッ!」
「まぁいいわ、どこまでその虚勢が続くか、見ものね」
ぶわぁっ、とレミリアの全身から闘気が溢れ出す。
それはもはや、会場全体すら覆いかねない、嵐。
「……っ……」
「ふふ、恐ろしくて声も出なくなった?」
「…………ない」
「え?」
「私は、負けないッ!
 あんたは確かに強いわよ、普通に戦ったら、勝てる相手じゃない。
 けど……この大会でなら、可能性だってゼロじゃないっ!
 引くわけには、いかないのよぉッ!」
ごぉっ、とチルノの全身から凍気が溢れ出す。
凍気は、会場内に満ちたレミリアの闘気をじわじわと塗りつぶし、凍りつかせてゆく。
「! これは……!」
レミリアの表情に一瞬の怯みが生じた。
「どう?『いっすんのむしにもごふんのたましー』、ってやつよっ!
 簡単に勝てると思うなッ!」
「……ふふ、あははははははッ、こりゃ面白い!
 そうじゃなきゃ張り合いがないよ!楽しめそうだ、この勝負!
 獅子は兎を狩るにも全力を尽くす……こっちも手は抜かない、全力で行くよ!
 紅魔の力、思い知るがいいわ、氷精!!」
「望むところだッ!
 その顔、凍りつかせてやるよ、悪魔!!」