熱戦続く最萌トーナメント、その1回戦第4試合。 ステージ上、試合を前に対峙するは2人の少女。 かたや、燃えるような紅い瞳を持つ吸血鬼。 かたや、凍るような蒼い瞳を持つ氷精。 背の丈だけ見れば両者の間に殆ど差は見られない。 だが、両者の醸し出す雰囲気は……明らかに異なっている。 「全く、敵ながら同情するわ」 「な、なにがよ」 「強者だらけのこのブロックに放り込まれた挙句、初戦の相手がこの私。 これで絶望するな、って方が無茶だと思うけどねぇ」 「ば、馬鹿にするなッ! み、見てなさい、私にかかればあんたなんて、ひとひねりなんだからッ!」 「……足を震わせながら言ったって説得力ないわよ」 「……ッ!」 「まぁいいわ、どこまでその虚勢が続くか、見ものね」 ぶわぁっ、とレミリアの全身から闘気が溢れ出す。 それはもはや、会場全体すら覆いかねない、嵐。 「……っ……」 「ふふ、恐ろしくて声も出なくなった?」 「…………ない」 「え?」 「私は、負けないッ! あんたは確かに強いわよ、普通に戦ったら、勝てる相手じゃない。 けど……この大会でなら、可能性だってゼロじゃないっ! 引くわけには、いかないのよぉッ!」 ごぉっ、とチルノの全身から凍気が溢れ出す。 凍気は、会場内に満ちたレミリアの闘気をじわじわと塗りつぶし、凍りつかせてゆく。 「! これは……!」 レミリアの表情に一瞬の怯みが生じた。 「どう?『いっすんのむしにもごふんのたましー』、ってやつよっ! 簡単に勝てると思うなッ!」 「……ふふ、あははははははッ、こりゃ面白い! そうじゃなきゃ張り合いがないよ!楽しめそうだ、この勝負! 獅子は兎を狩るにも全力を尽くす……こっちも手は抜かない、全力で行くよ! 紅魔の力、思い知るがいいわ、氷精!!」 「望むところだッ! その顔、凍りつかせてやるよ、悪魔!!」 |