【第2回東方最萌 2回戦 メルラン・プリズムリバー vs リグル・ナイトバグ】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 27本目」622)

「メルラン、頑張れー」
「メルラン姉さん、いい流れで私に繋いでね〜」
物静かな姉と、調子のいい妹に見送られて。
「さぁ、私の相手はどこかしら〜?
 私のトランペットの調べにさっさと魅了されちゃいなさーい」
微妙に躁モード発動中の騒霊次女、メルラン・プリズムリバーは、
賑やかにステージに舞い降りた。
が。
「……あら?」
もうそろそろ現れてもいいはずの相手の姿が、見えない。
「えーっと?」
きょろきょろと周囲を見渡すメルラン。
と、ステージの隅っこのほうに……。
「う゛〜〜〜寒い寒い寒い〜」
会場内だというのに勝手に焚き火を焚いて暖を取る、
蟲っ娘、リグル・ナイトバグの姿。
「……ちょっとそこのあなたー、そんなところで何してるの〜?
 ここは試合会場よー、これから地獄絵図なのよ〜」
「? うぅー、何よ、あんた?私は参加者よ、これでも……。
 はぁ、本当ならこの季節はお休みだってのにぃ……。
 なんでこの寒い中、勝負なんてしないといけないのよ……」
「勝負?……ってことは、あなたが、私の相手の、リグルちゃん?」
「……え。
 まさか、あんたが、メルラン・プリズムリバー?」
「そうよ、人呼んで騒霊トランペッター、
 メルラン・プリズムリバーとは私のことよ〜、初めまして〜」
「ふ〜〜〜ん……ちょっと、安心したかも」
「んー?今のはどういうことかしら?」
「あ、いや……怖そうな人じゃなくてよかったなぁ、なんて……あはは」
「あらそう、ありがと。
 それじゃお礼に、まずは、これからの23時間、お互いの健闘を祈って」
すちゃ、と、メルランが両手を構える。
と、次の瞬間、その両手に、愛用のトランペットが。
「さっそく1曲いくわよ〜!
 メルラン・プリズムリバー、行きまーす!」
高らかにトランペットを吹き鳴らすメルラン。
その直後、会場内を凄まじい怪音波と弾幕が襲った。
「ひ、ひええええぇっ!やっぱこの人怖いぃっ!!」
不意打ちのような攻撃に、大慌てで逃げ惑うリグル。
「……め、メルラン姉さん……い、いきなり、激しすぎ……」
「……き、今日はまた……一段と、ひ、酷いな……」
客席のルナサとリリカでさえも、その凄まじさに頭を抑えていた。

 メルランの強烈な先制攻撃で幕を開けた戦い。
果たしてこのまま、メルランの大暴走が続くのか?
それとも、リグルの季節外れの大逆襲があるのか?
最萌トーナメント2回戦、第11試合。23時間はまだ、始まったばかりで、ある。