戦いも、もう終盤戦に差し掛かって。 ステージ上、向かい合う2人の少女―――騒霊と、春の精。 2人とも服はところどころ破れ、激戦のあとをうかがわせる。 だが、2人の表情に―――疲れは、感じられない。 それどころか、笑みすら浮かんでいる。 「どう、まだやれそう?」 「まだ、やれますよ。今日は、凄く、楽しいですから」 「リリーもかぁ……実は、私も。 これだけ楽しい演奏が出来たのは凄く久し振りだよ」 「そういっていただけると嬉しいです。 ふふ、何かこの会場にだけ、一足先に春が来たみたいな感じです」 「……意外と、私とリリーが呼んじゃったのかもね、春」 「……かも、しれませんね。ふふっ」 笑みを交わす2人。そこには勝負特有の張り詰めた厳しさは、ない。 「それじゃ……そろそろ、ラストセッションと、いこっか。いい?」 「はい!」 「よーし、それじゃ、いくよー! さぁ、舞おう、春の訪れを祝って!」 外より一足先に、春の息吹に満ち溢れた会場で。 2人の少女の、最後のダンスが、始まった。 |