【第2回東方最萌 2回戦 レミリア・スカーレット vs 西行寺 幽々子】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 33本目」613)

「まさか、こうも早く再戦が実現するとはね。正直、驚いてるよ」
「あら、私はてっきりあなたが組み合わせの段階で
 そういう運命になるよう導いたのだと思っていたんだけど」
「まさか。生憎、私はそういう運命操作の使い方は嫌いでねぇ。
 だって、面白くないじゃない、それじゃ。
 偶然が作り出した対戦表にこそ、価値がある。違うかい?」
「全面的に同意いたしますわ」

 ステージの上は試合前から緊迫したムードに包まれていた。
紅魔館の主、永遠に赤い幼き月ことレミリア・スカーレット。
白玉楼の主、天衣無縫の亡霊こと西行寺 幽々子。
前回大会でも1回戦でぶつかり、激闘を演じたこの2人。
今回の大会でも2回戦にして早くも相対することとなった。
ちなみに、ステージ上で向かい合う2人の他に、
ステージ脇で見守っている瀟洒なメイドと半霊庭師の間にも、
激しい視線のぶつかり合いが発生していたりするのだが、
それは本筋とは関係ないので置いておく。

「まぁ、何はともあれ折角実現した再戦だ。
 私は借りを返すチャンスは無駄にしないタチでねぇ。
 この機会に前回のお返しをさせてもらうよ」
「いえいえ、そのお返し、謹んでお断りしますわ。
 むしろ私から再度の敗北をお贈り致します」
「ふん、その強気な発言、いつまで続くかな。
 私を前回と同じと思わないことね」
「あらあら、そちらこそ、私を前回と同じだと思っていない?
 止まっていると言われる亡霊でも、腕を磨くことくらいできるのよ?」
「ほぅ、それは1つ勉強になったよ。
 まぁ、お前が強くなっていようが関係ない。私がそれを上回ればいいだけだし」
「上回るのはそう簡単じゃなくてよ?うふふ……」
「やって、みせるさ。くくくっ……」
ステージの上で、互いの自信に満ちた笑いが交錯する。

「さて。
 もうそろそろ時間だねぇ、始めさせてもらおうか」
言うと、レミリアの周囲を紅い闘気が包み込み始める。
「了解ですわ。
 今日は面白い1日になりそうね」
応えて扇を構える幽々子。その周囲へ、桜色の妖気が広がる。
「「さぁ、」」
「紅き奔流に飲まれるがいい、桜の姫君!」
「桜花の中で散り逝きなさい、紅夜の王!」