【第2回東方最萌 3回戦 十六夜 咲夜 vs 藤原 妹紅】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 40本目」312)

「今日の私の相手はあんたか、メイド」
「いきなり随分と不躾な挨拶ねぇ、ゾンビ」
「ゾンビ言うな」

 ステージ上では早くも激しい睨み合いが始まっていた。
時を操る紅魔館のメイド、十六夜咲夜と、
死ぬことのない人間、藤原妹紅。
今大会初の、人間同士の勝負である。

「生憎と、この試合、私は負けられない。
 お嬢様がいなくなってしまった以上、
 お嬢様の分まで戦い抜くのが、従者としての、私の務め」
「それはこっちも似たようなもの。そっちばかりが特別じゃないよ。
 戦いたかったあいつは早々に負けちゃったけど、
 この上では慧音が待ってくれている。
 私も、自分のため、皆のため、戦い続けるしか、ないのよ」
「お互い、事情あり、か……。
 全く、この大会、勝ち続けるごとに重たくなっていくのねぇ」
「……それには同意だね」
少しだけ苦笑いを浮かべた妹紅は、続けて、
「……けど。
 だからこそ、この大会の勝負は、楽しい。違うかい?」
「……同意ね。ちょっと悔しいけど」
今度は咲夜が苦笑を浮かべた。

「まぁ、今、私たちに出来ることは」
「負けて去っていった皆の分まで」
「勝って前に進み続けること」
「そのために、今は、」

「「目の前のあんたを、倒す!!」」


 去った者たちの分まで戦い抜く。それが、残った者の、務め。
最萌トーナメント3回戦、第4試合―――今、開戦す。