「今日の私の相手はあんたか、メイド」 「いきなり随分と不躾な挨拶ねぇ、ゾンビ」 「ゾンビ言うな」 ステージ上では早くも激しい睨み合いが始まっていた。 時を操る紅魔館のメイド、十六夜咲夜と、 死ぬことのない人間、藤原妹紅。 今大会初の、人間同士の勝負である。 「生憎と、この試合、私は負けられない。 お嬢様がいなくなってしまった以上、 お嬢様の分まで戦い抜くのが、従者としての、私の務め」 「それはこっちも似たようなもの。そっちばかりが特別じゃないよ。 戦いたかったあいつは早々に負けちゃったけど、 この上では慧音が待ってくれている。 私も、自分のため、皆のため、戦い続けるしか、ないのよ」 「お互い、事情あり、か……。 全く、この大会、勝ち続けるごとに重たくなっていくのねぇ」 「……それには同意だね」 少しだけ苦笑いを浮かべた妹紅は、続けて、 「……けど。 だからこそ、この大会の勝負は、楽しい。違うかい?」 「……同意ね。ちょっと悔しいけど」 今度は咲夜が苦笑を浮かべた。 「まぁ、今、私たちに出来ることは」 「負けて去っていった皆の分まで」 「勝って前に進み続けること」 「そのために、今は、」 「「目の前のあんたを、倒す!!」」 去った者たちの分まで戦い抜く。それが、残った者の、務め。 最萌トーナメント3回戦、第4試合―――今、開戦す。 |