【第2回東方最萌 準々決勝 アリス・マーガトロイド vs フランドール・スカーレット】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 54本目」241)

「わぁ、かわいいお人形さん〜♪」
「ふふ、上海人形よ。ほら、上海、挨拶」
「はじめまして、フランドールさん」(ぺこり)
「わ、喋れるんだぁ……よろしくね、上海ちゃん♪」
「よろしく おねがいします」

 ベスト4の椅子を賭けた争いも、いよいよ最終戦。
七色の人形使い・アリスと、悪魔の妹、フランドール。
これから熾烈な戦いが始まろうとしている……はずなのだが、
ステージ上ではフランドールがアリスの使い魔・上海人形に興味津々。
アリスのほうも、まんざらでもなさそうであるが。

「ふふ、上海のこと、気に入ってもらえて、嬉しいわ。
 ……魔理沙から聞いてはいたけど、ほんと、素直でいい子ね」
「え? あなたも、魔理沙のお友達?」
「ん、まぁ……友達っていうか、腐れ縁みたいなものだけど……」
「へぇー……。
 ……それじゃあ、あなたも――つよいの?」
顔には笑みを浮かべたままで、すぅっ、とフランドールの目が細くなる。
その瞳の奥に垣間見えたのは――深い、深い、闇と、狂気。
アリスは一瞬、戦慄した。
(な……何なの、今の目は……)
……が、気を取り直し、アリスは平然を装って、答えた。
「そ、そうねぇ……まぁ、魔理沙くらいには、強いと思うけど」
そう答えるとフランドールの顔がぱぁっ、と明るくなる。
「へぇー、そうなんだ、凄く楽しみ!
 さぁ、早くやろやろ、弾幕ごっこ♪」
その笑顔はもう、元の幼い無邪気なものに戻っていた。
(不思議な、子……さすがは、悪魔の妹、だわ。
 ……魔理沙がやられたのも、分かる気が、する)
アリスの中に、悪い癖――弱気の虫が、顔を覗かせ始める。

 ……が、アリスはその弱気を、すぐに振り払った。
(うぅん、私だって、パチュリーや霊夢に勝ってるんだもの。
 そう簡単に負けるわけには……いかないわ)
自らを、奮い立たせて。アリスは笑顔で、フランドールに答えた。
「いいわよ、上海と一緒に、遊んであげる。
 さぁ、いらっしゃい、かわいいお嬢ちゃん!」
それに応じて、フランドールも地を蹴った。
「うん、いくよーっ! あなたの実力、楽しみにしてるからっ!」

 無邪気に、そして、優雅に。準々決勝・最終戦、その幕が――上がった。