「わぁ、かわいいお人形さん〜♪」 「ふふ、上海人形よ。ほら、上海、挨拶」 「はじめまして、フランドールさん」(ぺこり) 「わ、喋れるんだぁ……よろしくね、上海ちゃん♪」 「よろしく おねがいします」 ベスト4の椅子を賭けた争いも、いよいよ最終戦。 七色の人形使い・アリスと、悪魔の妹、フランドール。 これから熾烈な戦いが始まろうとしている……はずなのだが、 ステージ上ではフランドールがアリスの使い魔・上海人形に興味津々。 アリスのほうも、まんざらでもなさそうであるが。 「ふふ、上海のこと、気に入ってもらえて、嬉しいわ。 ……魔理沙から聞いてはいたけど、ほんと、素直でいい子ね」 「え? あなたも、魔理沙のお友達?」 「ん、まぁ……友達っていうか、腐れ縁みたいなものだけど……」 「へぇー……。 ……それじゃあ、あなたも――つよいの?」 顔には笑みを浮かべたままで、すぅっ、とフランドールの目が細くなる。 その瞳の奥に垣間見えたのは――深い、深い、闇と、狂気。 アリスは一瞬、戦慄した。 (な……何なの、今の目は……) ……が、気を取り直し、アリスは平然を装って、答えた。 「そ、そうねぇ……まぁ、魔理沙くらいには、強いと思うけど」 そう答えるとフランドールの顔がぱぁっ、と明るくなる。 「へぇー、そうなんだ、凄く楽しみ! さぁ、早くやろやろ、弾幕ごっこ♪」 その笑顔はもう、元の幼い無邪気なものに戻っていた。 (不思議な、子……さすがは、悪魔の妹、だわ。 ……魔理沙がやられたのも、分かる気が、する) アリスの中に、悪い癖――弱気の虫が、顔を覗かせ始める。 ……が、アリスはその弱気を、すぐに振り払った。 (うぅん、私だって、パチュリーや霊夢に勝ってるんだもの。 そう簡単に負けるわけには……いかないわ) 自らを、奮い立たせて。アリスは笑顔で、フランドールに答えた。 「いいわよ、上海と一緒に、遊んであげる。 さぁ、いらっしゃい、かわいいお嬢ちゃん!」 それに応じて、フランドールも地を蹴った。 「うん、いくよーっ! あなたの実力、楽しみにしてるからっ!」 無邪気に、そして、優雅に。準々決勝・最終戦、その幕が――上がった。 |