「さーて、次は私の番ね……って、あれ?」 一目散にステージへ駆け上がってきたフランドール。 だが、眼前にいるべき対戦相手は未だその姿を見せていない。 「あれぇ〜……??おかしいな、もう時間のはずなのに。 ……もしかして不戦勝?そんなのつまんないよぉ」 「心配しなくてもいるわよ、さっきから」 「!?」 会場内に突如として妖しげな霧が漂う。 霧はだんだんとステージ上の1点へと収束し……やがて完全に晴れた。 霧の収束した、その先には……角を生やした小柄な少女がいた。 「……あなたは、だぁれ?」 「こうしてお会いするのは初めまして、ね。フランドールお嬢さん。 私は萃香よ、伊吹萃香。 あなたのことはお姉さんとかから聞いてるわ」 「お姉様と、知り合いなの?」 「えぇ、一応、弾幕と盃くらいは交わした仲よ? あなたは宴会にも出てきてなかったから知らないかもしれないけど」 「だって私、お酒とか飲めないし」 「ありゃー、それはまた惜しいわねぇ〜。 人生の3分の2くらいは損してるわよ?」 「そもそも人じゃないんだけどなぁ……」 「そんなことより」 「え?」 「勝負よ、勝負。あなたと私は勝負するの。今から、ここで」 「え、私の対戦相手って、あなただったの?」 「……トーナメント表は見てなかったのかしら?」 「見たけど、名前は伏せられてたから」 「そっか……大方、紫辺りが変な気を利かせたのねぇ。まぁ、いいけど」 「で」 「ん?」 「戦うんでしょ?私と、あなたで」 「そうそう、それそれ。正々堂々の、決闘よ。 といっても、私の弾幕はちょっと特殊だから、 あなたにはちょっと酷かもしれないけどね」 「へぇ〜……どんな弾幕なの?」 「どっちかというとね、接近戦向きなのよ。投げ飛ばしたりもするわね。 だから、結構痛いかもしれないわよ?」 「接近戦かぁ、それなら大丈夫!」 右手をかざすフラン。次の瞬間、その手に燃え盛る剣が現れる。 「へぇー……こりゃ驚いたわ」 「へへー、驚いた?レーヴァテインは私のお気に入りなんだから! これがあれば接近戦だって負けないよ!」 「流石は紅い悪魔の妹ね……その剣からも、尋常じゃない力を感じるわ。 いいわ、それでこそ血が騒ぐってものよ! 失われし鬼の力、あなたにも見せてあげるわ!」 「来いっ!跡形もなく吹き飛ばしてやるんだからっ!」 |