【第2回東方最萌 2回戦 幽香 vs ルーミア】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 29本目」318)

「あなたが、今日の私の相手?」
「そうよ、幽香よ〜。よろしくね、ルーミアちゃん♪」
「そーなのかー、よろしく〜」
最萌トーナメントも今日で参加者全員が登場し、全試合の半分を終了する。
その今日という日に相対するは、宵闇小町と宵闇の妖怪。
……が、今のところ2人の間にはまったりとした挨拶が交わされていた。

「で、ルーミアちゃん。
 あなた、闇の使い手だって聞いたんだけど」
「そうだよー。ちょっとやってみようか?えいっ」
次の瞬間、ルーミアの体とその周囲を、黒い闇が包み込んだ。
「こんな感じだけど、どうかなー」
「へぇ……子供だと思ってたけど、結構やるのね。
 でも、まだまだ、ね」
そう幽香が呟いた、次の瞬間。
ばしゅっ、と、ルーミアを覆っていた闇が、吹き飛ばされた。
「きゃ!? ……今の、おねーさんが?」
「そうよ」
「……おねーさん、実はすごく強い?」
「今ごろ気付いたの?ふふっ、面白い子。
 仮にも宵闇小町と呼ばれたこともあるこの私相手に、
 あの程度の闇じゃ、足りないわよ。
 出すんならもっとこう、この会場を覆うくらいのにしなさいな」
「? でもそれやっちゃったらみんな見えなくなるけど、いいの?」
「……え。 まさか、できる?」
「うーん、ちょっとやってみるねー……それーっ!」
言った、次の瞬間。
会場全体が、漆黒の闇に包まれた。
(!!??)
幽香でさえも、これがあの目の前の幼い少女の所業なのか一瞬判別できなかった。
と。
次の瞬間、みるみるうちに闇は晴れ、視界が戻った。
「うーん、やっぱり範囲が広いと長持ちしないよー。
 やっぱりこれのせいなのかなぁ……いたっ」
なにやら頭のリボンを触って、痛がっているルーミア。
(この子……いったい……)
相手の真の実力を察し切れず、心中微かに焦りを覚えた幽香であったが、
今はそれを表に出している場合ではない、ので。
「へぇ、恐れ入ったわ……これは、少しは楽しめそうね」
そう言って、ニヤリと笑っておく、ことにした。

「さぁ、お喋りはこの位にして、そろそろ始めましょう?」
言って、たっ、と地を蹴り宙に浮かぶ幽香。
「いいよー、でも、私もそう簡単に負けないからねー!」
ルーミアも手を広げ、いつものポーズで空へと舞う。
最萌トーナメント本戦の38人の参加者、その最後の2人が、
今、最萌のステージで、舞う。