「あなたが、今日の私の相手?」 「そうよ、幽香よ〜。よろしくね、ルーミアちゃん♪」 「そーなのかー、よろしく〜」 最萌トーナメントも今日で参加者全員が登場し、全試合の半分を終了する。 その今日という日に相対するは、宵闇小町と宵闇の妖怪。 ……が、今のところ2人の間にはまったりとした挨拶が交わされていた。 「で、ルーミアちゃん。 あなた、闇の使い手だって聞いたんだけど」 「そうだよー。ちょっとやってみようか?えいっ」 次の瞬間、ルーミアの体とその周囲を、黒い闇が包み込んだ。 「こんな感じだけど、どうかなー」 「へぇ……子供だと思ってたけど、結構やるのね。 でも、まだまだ、ね」 そう幽香が呟いた、次の瞬間。 ばしゅっ、と、ルーミアを覆っていた闇が、吹き飛ばされた。 「きゃ!? ……今の、おねーさんが?」 「そうよ」 「……おねーさん、実はすごく強い?」 「今ごろ気付いたの?ふふっ、面白い子。 仮にも宵闇小町と呼ばれたこともあるこの私相手に、 あの程度の闇じゃ、足りないわよ。 出すんならもっとこう、この会場を覆うくらいのにしなさいな」 「? でもそれやっちゃったらみんな見えなくなるけど、いいの?」 「……え。 まさか、できる?」 「うーん、ちょっとやってみるねー……それーっ!」 言った、次の瞬間。 会場全体が、漆黒の闇に包まれた。 (!!??) 幽香でさえも、これがあの目の前の幼い少女の所業なのか一瞬判別できなかった。 と。 次の瞬間、みるみるうちに闇は晴れ、視界が戻った。 「うーん、やっぱり範囲が広いと長持ちしないよー。 やっぱりこれのせいなのかなぁ……いたっ」 なにやら頭のリボンを触って、痛がっているルーミア。 (この子……いったい……) 相手の真の実力を察し切れず、心中微かに焦りを覚えた幽香であったが、 今はそれを表に出している場合ではない、ので。 「へぇ、恐れ入ったわ……これは、少しは楽しめそうね」 そう言って、ニヤリと笑っておく、ことにした。 「さぁ、お喋りはこの位にして、そろそろ始めましょう?」 言って、たっ、と地を蹴り宙に浮かぶ幽香。 「いいよー、でも、私もそう簡単に負けないからねー!」 ルーミアも手を広げ、いつものポーズで空へと舞う。 最萌トーナメント本戦の38人の参加者、その最後の2人が、 今、最萌のステージで、舞う。 |