「わーい、魔理沙〜♪」 「ちょっ、フラン……はは、相変わらず元気なヤツだな」 ステージの上では何とも言えぬ長閑な光景が繰り広げられている。 悪魔の妹ことフランドール・スカーレットが、 対戦相手である魔法使い・霧雨 魔理沙に抱きついている。 えぇそりゃもう、ぎゅ〜〜〜っ、っという擬音が聞こえるほどに。 「ねぇ魔理沙、お願いがあるんだけど」 抱きついたまま、フランが唐突に尋ねた。 「何だ?私にできることなら聞いてやるぜ」 「じゃあ……今日の勝負、負けて♪」 文字通り悪魔のような微笑で魔理沙に迫るフランドール。 ふっ、と魔理沙は寂しげな笑みを浮かべ、体を離して、聞いた。 「……今日の勝負、勝ちたいか?フラン」 「もちろんだよっ。 今日私が勝てば、きっと明日、お姉様も勝ってくれる。 そうしたら、次はお姉様と勝負できるもん。こんな機会、そうないし」 「そっか……だがなフラン、残念だが、その願いだけは私には聞けんぜ。 あいにく私にも倒さなきゃならない相手がまだまだいるんでな。 こんなところで貴重なコイン1個を失うわけにはいかないぜ」 「ぶー、魔理沙の意地悪ー!」 笑顔から一転、むくれ顔になるフランドール。 「すまんな、フラン」 「……まぁ、魔理沙がそう言うだろうってのは予想してたけどね」 「え?」 「だから……」 そこまで言って、フランドールは魔理沙から離れる。 「?」 「自分の力で、私はあなたを倒すよ、魔理沙っ!」 言った直後、フランドールの手に、炎の剣―――レーヴァテインが現れる。 「行くよっ、魔理沙!あなたのコイン、ここでゲーム・オーバーにしてあげる!」 それを聞いてようやく、魔理沙も楽しげな笑みを浮かべ、箒に跨り空へと舞う。 「そうだぜ、それでいいんだ、フラン! 来い!私もコンティニュー無しで、全力で受け止めてやるぜ!」 |