【第2回東方最萌 2回戦 フランドール・スカーレット vs 霧雨 魔理沙】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 31本目」913)

「わーい、魔理沙〜♪」
「ちょっ、フラン……はは、相変わらず元気なヤツだな」

 ステージの上では何とも言えぬ長閑な光景が繰り広げられている。
悪魔の妹ことフランドール・スカーレットが、
対戦相手である魔法使い・霧雨 魔理沙に抱きついている。
えぇそりゃもう、ぎゅ〜〜〜っ、っという擬音が聞こえるほどに。

「ねぇ魔理沙、お願いがあるんだけど」
抱きついたまま、フランが唐突に尋ねた。
「何だ?私にできることなら聞いてやるぜ」
「じゃあ……今日の勝負、負けて♪」
文字通り悪魔のような微笑で魔理沙に迫るフランドール。
ふっ、と魔理沙は寂しげな笑みを浮かべ、体を離して、聞いた。
「……今日の勝負、勝ちたいか?フラン」
「もちろんだよっ。
 今日私が勝てば、きっと明日、お姉様も勝ってくれる。
 そうしたら、次はお姉様と勝負できるもん。こんな機会、そうないし」
「そっか……だがなフラン、残念だが、その願いだけは私には聞けんぜ。
 あいにく私にも倒さなきゃならない相手がまだまだいるんでな。
 こんなところで貴重なコイン1個を失うわけにはいかないぜ」
「ぶー、魔理沙の意地悪ー!」
笑顔から一転、むくれ顔になるフランドール。
「すまんな、フラン」
「……まぁ、魔理沙がそう言うだろうってのは予想してたけどね」
「え?」
「だから……」
そこまで言って、フランドールは魔理沙から離れる。
「?」
「自分の力で、私はあなたを倒すよ、魔理沙っ!」
言った直後、フランドールの手に、炎の剣―――レーヴァテインが現れる。
「行くよっ、魔理沙!あなたのコイン、ここでゲーム・オーバーにしてあげる!」
それを聞いてようやく、魔理沙も楽しげな笑みを浮かべ、箒に跨り空へと舞う。
「そうだぜ、それでいいんだ、フラン!
 来い!私もコンティニュー無しで、全力で受け止めてやるぜ!」