【第2回東方最萌 3回戦 フランドール・スカーレット vs 西行寺 幽々子】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 45本目」812)

「……どうして、あなたなの」
目の前の対戦相手を睨みつけながら、フランドール・スカーレットは言った。
「私は、お姉様と戦いたくて、ここまで頑張ってきたの。
 だから……魔理沙にだって、勝てたんだよ?
 なのに……なのになんでお姉さまじゃないのよぉっ!!」
感情のまま、半泣きで眼前の相手に向けて叫ぶフランドール。
「……やれやれ、すっかり悪者扱いね」
叫ばれた相手―――亡霊の姫・西行寺 幽々子は、
無表情に口元を扇で隠しながら、言った。
「聞きなさい、悪魔の妹。
 あなたが姉と戦いたかった気持ちはよく分かる。
 けどね、これは大会、真剣勝負なの。
 勝負は、時として非情なものなのよ……分かるかしら?」
「分かる!そのくらい分かってるわよ!でもぉっ!」
「それならっ!!」
突如、幽々子が怒鳴り返した
その威圧感の前に、フランドールもビクッと肩を震わせる。
「あなたのその怒り、これからの戦いで私にぶつけてみなさい、思う存分!
 私も、それを全力で受けてあげる。それこそ、あなたの姉がしたであろうように。
 ……それでは、あなたは、不満かしら?」
「……言われ、なくても」
俯いてそれだけを口にしたフランドール。
次の瞬間、幽々子の周囲を、青と紫の妖弾が取り囲んだ。
「お姉さまの仇は、私が討つ!クランベリー・トラップ!」
フランドールがそう叫ぶと同時に、妖弾が幽々子めがけて殺到する。
「そう、それでいいのよ……でも、まだまだ、ね」
不意打ちにも慌てず騒がず、手に持った扇を広げて。幽々子は、静かに、宣言した。
「……華胥の、永眠」
次の瞬間。
幽々子の周囲へ―――大量の蝶が放たれた。
蝶は、殺到する妖弾を次々と弾き落としていく。
やがて、双方のスペルは効果を失い、再び場に静寂が訪れた。
「……っ」
「さあ、まだ勝負は始まったばかりよ?
 見せてみなさい、あなたの力を。こんなものでは、ないでしょう?」
「……勿論よっ!
 行くよ!どうか見ていて、お姉さま、私の戦いを!」
「来なさい!あなたもすぐに、姉のもとに送ってあげる!」


 ―――観客席にて。
戦闘が始まったのを眺めながら、レミリア・スカーレットは、呟いた。
「西行寺 幽々子……私を2度までも倒したことは、褒めてやる。
 けれど……フランは、強いわよ?勝てるかしらねぇ?くくくっ……」