最萌トーナメント準々決勝、第2戦。 ステージ上、2人は既に準備万端、といった感じで対峙している。 歴史を守護するワーハクタク・上白沢慧音と、 紅魔を守護する瀟洒なメイド・十六夜咲夜。 今宵は満月ではないので、一応、人間同士の戦い、ということになるだろうか。 「現れたか、悪魔の狗め」 「あら、私もこれでも一応人間なんだけどねぇ? あの蓬莱人とかとはえらく扱いが違うじゃない?」 「ふん、私が好きなのは『人間に危害を加えない人間』だ。 いきなりナイフを投げつけてくるような危険人物など、 私が保護するには値しない」 「……随分と酷い言われようねぇ。変質者じゃあるまいし、 いくらなんでも辺り構わずナイフを投げるような真似はしないわよ。 まぁ、私やお嬢様の邪魔立てをする者には容赦なくいくけど」 「そういうところが危険人物だと言ってるんだ……。 まぁいい、いずれにしろお前にはここで終わってもらう。 前の一戦で妹紅を破ったこと、この一戦で後悔させてやる」 「生憎と、まだまだ散るわけにはいかないのよ。 向こうのブロックにはまだ美鈴や妹様が残っているからね。 どちらかと決勝でやってみたいのよ、是非、ね」 「もう決勝まで行く気とは、な。 だが、そんな歴史を勝手に紡がせるわけにはいかない。 お前の今大会の歴史は、ここで私に負けて終わり、だ」 「甘いわね。 歴史など、しょせん過去の遺物に過ぎないわ。未来は歴史には縛られない。 未来の行方は、私と、このナイフが、決める」 そう言って、ナイフを取り出す咲夜。 「未来は自分で決める、か……面白い。 ならば私も、自らの手でこの先の未来、綴ってやる。 お前の描くものとは180度違った未来を、な」 応じて、闘気を高めていく慧音。 ―――そして。 「たとえ未来だろうと―――私に創れない歴史は、ない!来るがいい!」 「今、この時間さえ、私の手の内―――未来だって、操ってみせるわ!」 今、大会の記憶に、また新たな1ページが、綴られる―――。 |