【第2回東方最萌 決勝戦 十六夜 咲夜 vs 紅 美鈴 中編】
(初出:第2回東方最萌板「第2回東方最萌トーナメント 63本目」894・「65本目」13)

(定時SS集)

 ざざっ。
2つの着地音が重なり、そしてステージの上に静寂が訪れる。
両者とも、まだまだ、気合は、十分。

「へぇ……腕を上げたわね、美鈴」
「日々、鍛錬は欠かしていませんからね。
 そういう咲夜さんこそ、相変わらずキレがいいですね」
「メイド長ってのは機敏さが重要なのよ。
 それこそ、門番に負けないくらいに、ね」
そこまで言って、お互いの顔に愉快そうな笑みが浮かぶ。

「さあ、まだ勝負は終わってないわ。
 次は、こっちから行くわよ」
言って咲夜はカードを1枚取り出し、静かに、宣言した。
「幻符――『殺人ドール』」
次の瞬間、大量のナイフが中空を覆い尽くし、
さらにその直後、美鈴めがけて迫っていく。
しかし。
「ならば、私も! 虹符、『彩虹の風鈴』!」
美鈴もすかさず、スペルを発動。
放たれた七色の気弾が、渦を巻き、ナイフの群れへと、襲い掛かった――!


 紅魔の鋭き牙と、紅魔の硬き盾。
その激突は――12時間を経て、今、後半戦へと、突入する。


 ――決勝戦、残り、11時間……!










「……くっ!」
かたや、気弾の嵐の中を紙一重で鮮やかに潜り抜け。
「……はぁっ!」
かたや、眼前に迫ったナイフを、素早く弾き落とす。
そんな、一進一退の攻防が続くこと、22時間。
熱戦は、いよいよ終末のときを、迎えようとしていた。

「……はぁっ、はぁ……」
「……っく、はぁ……」
両者とも、流石に疲労の色は隠せない。
「もう、少しね……」
「えぇ……さすがにきついですけど」
「カードの残りも少ない……そろそろ、蹴りをつけさせてもらうわよ」
「こっちも、もう、引きません。正面から、当たります!」
「その心意気、それでこそ、紅魔館の門番!
 ならば、全てを、解き放つわ! 奇術『エターナルミーク』!」
切り札ともいえるスペルを解き放つ咲夜。
その周囲に、狂ったような弾幕がばら撒かれ、美鈴を襲う。
「こちらも、全てを以て、あなたを超えてみせます、咲夜さん!
 吹き荒れろ――彩符、『極彩颱風』ッ!!
美鈴も、最後の切り札を、切った。
煌びやかな、しかして嵐と言っていいほどの弾幕が、咲夜へ降り注ぐ。
――ステージ中央、両者の弾幕が、激しく、火花を、散らした。


 ――決勝戦、残り、1時間! ラストスパート!!